年間教育費ランキング：世界で最も教育にお金をかけている国はどこか？購買力平価（PPP）基準

重要ポイント

上位グループの多様性

• ランキングのトップはイギリス領アンギラで、年間6,093ドルを支出しています。
• 上位にはイスラエル、ジョージア、バミューダなど、経済規模や地域が異なる多様な国が含まれています。
• これは、高い一人当たり所得を持つ小規模な領域や、人的資本への投資を重視する国が上位に来る傾向を示しています。

先進国の位置付けと日本の状況

• アメリカやイギリスなどの主要先進国はランキングの中上位に位置していますが、トップ10には入っていません。
• 日本は年間2,878ドルで68位と、他の経済大国と比較すると中程度の水準です。
• この背景には、充実した公教育制度と、塾などの学校外教育への支出という日本特有の構造が影響していると考えられます。

世界的な教育格差

• ランキングは、教育への投資における深刻な世界的格差を浮き彫りにしています。
• 最上位のアンギラと最下位のソマリア（56ドル）では、支出額に100倍以上の差があります。
• サハラ以南のアフリカ諸国などが下位に集中しており、基礎教育へのアクセス機会の不平等を物語っています。

上位ランキング

1位 アンギラ $6,093

カリブ海に位置するイギリスの海外領土であるアンギラが1位となりました。人口約1万5千人の小規模な領域ながら、観光業と国際金融サービスを主産業としており、一人当たりの国民所得が非常に高いことで知られています。この経済的豊かさが、高額な教育費支出を可能にしていると考えられます。国内の教育機関だけでなく、子弟を海外の質の高い私立学校や大学へ進学させるための費用が、この数値を押し上げている主な要因でしょう。

2位 イスラエル $5,675

イスラエルは「スタートアップ国家」として世界的に有名であり、その経済成長の根幹には人的資本への積極的な投資があります。国家的に科学技術分野の教育が奨励されており、国民の間でも高等教育への価値観が非常に高いです。特に、科学、技術、工学、数学（STEM）分野への関心は高く、専門的なスキルを身につけるための私教育や補習授業への支出が家計のかなりの部分を占めていると推測されます。これが、世界トップクラスの教育費支出につながっています。

3位 ジョージア $5,168

旧ソビエト連邦から独立したジョージアが3位にランクインしたことは、特筆すべき点です。独立後の市場経済への移行と経済改革を経て、近年は安定した経済成長を遂げています。このような社会変革期においては、将来の社会的・経済的成功を掴むために、質の高い教育を求める傾向が強まります。公教育システムへの補完、あるいは代替として、私立学校や外国語教育、海外留学などへの家計支出が急増している可能性が、この高い順位に反映されていると考えられます。

4位 英領バミューダ $5,040

北大西洋に位置するイギリスの海外領土であるバミューダは、世界有数のオフショア金融センターおよび再保険市場として栄えています。アンギラと同様に、非常に高い一人当たり所得を誇り、それが高水準の教育費支出を支えています。島内には国際基準の私立学校が存在し、多くの富裕層が子弟の教育に多額の投資を行っています。また、地理的に近いアメリカやイギリスの大学への進学も一般的であり、そのための費用も全体の支出額を押し上げる要因となっています。

5位 メキシコ $5,026

ラテンアメリカの主要経済国であるメキシコがトップ5に入っているのは、国内の経済格差と教育システムの関係を反映している可能性があります。メキシコでは公教育の質に地域差や学校間格差が存在するため、中間層以上の家庭では、より良い教育環境を求めて私立学校を選択する傾向が強いです。都市部を中心に、小学校から大学まで私立への依存度が高く、それが国全体の一人当たり教育費を押し上げる大きな要因となっていると考えられます。

68位 日本 $2,878

日本は年間2,878ドルで68位に位置しています。この順位は、他の主要先進国と比較するとやや低い水準ですが、日本の教育支出の構造を反映しています。日本では、義務教育段階の公立学校が教育の根幹を担っており、家計の直接的な学費負担は比較的小さいです。しかし、一方で「塾」や習い事といった学校外教育への支出が非常に大きいのが特徴です。このデータは、そうした補習教育費を含んでいますが、大学進学率や授業料などを総合すると、全体としては中位に落ち着いている形です。