MLB歴代セーブ王ランキング:史上最高のリリーフ投手は誰だ?

メジャーリーグの歴史に名を刻んだ最高のクローザーは誰か、その答えを示す通算セーブ数ランキングが公開された。ニューヨーク・ヤンキースの伝説、マリアノ・リベラが652セーブという圧倒的な記録で不動の1位に君臨している。2位のトレバー・ホフマンとは51セーブもの大差があり、リベラの偉大さが際立つ。さらに、ケンリー・ジャンセンやクレイグ・キンブレルといった現役選手もトップ5にランクインしており、現代野球における救援投手の重要性を物語っている。

MLB 通算セーブ数ランキング
2024年時点のMLB歴代クローザー通算セーブ数ランキング。マリアノ・リベラが652セーブで1位、トレバー・ホフマン(601セーブ)とリー・スミス(478セーブ)が続く。ケンリー・ジャンセン(447セーブ)とクレイグ・キンブレル(440セーブ)がそれぞれ4位、5位にランクインした。

セーブとは、野球における救援投手に与えられる記録の一つである。リードしているチームの救援投手が、特定の条件を満たした状況で登板し、リードを保ったまま試合を終了させた場合に記録される。クローザーの能力を評価する最も重要な指標として用いられる。

メジャーリーグベースボール(MLB)の歴史は、数々の偉大な記録と共に紡がれてきた。その中でも、試合の最終盤を締めくくる「クローザー」という役割は、時代と共にその重要性を増し、専門化が進んできた。このポジションにおける成功の最も分かりやすい指標が「セーブ」であり、その通算記録は、投手の信頼性、精神力、そして支配力を物語る。

救援投手の役割の進化

かつて救援投手は、先発投手が降板した後の長いイニングを投げるのが一般的だった。しかし、1970年代から80年代にかけて、ローリー・フィンガーズやリッチ・ゴセージといったパワフルな投手の登場により、試合の最終盤に特化した「クローザー」の概念が確立され始める。彼らは複数のイニングをまたいで登板することもあったが、試合を締めくくるという明確な役割を担うようになった。この流れは、90年代に入るとさらに加速し、デニス・エカーズリーやリー・スミスのように、ほぼ1イニング限定で起用される絶対的な守護神が誕生した。これにより、セーブという記録の価値は飛躍的に高まり、チーム戦略の根幹をなす要素となったのである。

不動のレジェンドたち

このランキングの上位に名を連ねる投手たちは、まさに一時代を築いた伝説的な存在だ。特に、1位のマリアノ・リベラと2位のトレバー・ホフマンは、2000年代のMLBを象徴するクローザーと言える。リベラの代名詞である「カットボール」は、打者の手元で鋭く変化し、数多のバットをへし折ってきた。彼の冷静沈着なマウンドさばきと、ポストシーズンでの圧倒的なパフォーマンスは、ヤンキース王朝を支える大きな力となった。一方、ホフマンは「チェンジアップ」を武器に、打者のタイミングを巧みに外し続けた。その安定感と長きにわたる活躍は、多くのファンに愛された。彼ら二人の存在は、クローザーというポジションの評価を不動のものにしたと言っても過言ではない。

現代のクローザーと日本からの挑戦者

ランキングの上位には、ケンリー・ジャンセンやクレイグ・キンブレルのような現役選手も含まれている。彼らは100マイルに迫る速球と鋭い変化球を武器に、現代の強力打線をねじ伏せている。彼らの活躍は、クローザーが依然として試合の勝敗を左右する重要な存在であることを示している。また、このリストには「大魔神」の愛称で知られる佐々木主浩のように、日本プロ野球で圧倒的な実績を残し、MLBに挑戦した投手も名を連ねている。彼のフォークボールはメジャーの強打者たちを大いに苦しめ、短期間で強烈なインパクトを残した。佐々木や上原浩治といった日本人クローザーの成功は、日本人投手の質の高さを証明し、後の世代に大きな影響を与えている。今後も、新たな投球理論やトレーニング方法の進化に伴い、この勢力図がどのように変化していくのか注目される。

MLB歴代セーブ王ランキング

メジャーリーグの歴史に名を刻んだ最高のクローザーは誰か、その答えを示す通算セーブ数ランキングが公開された。

Change Chart

    重要ポイント

    不動のトップランカー

    • 絶対的支配者リベラ: マリアノ・リベラが652セーブで歴代1位に君臨しており、2位と50以上の差をつける圧倒的な記録を保持している。
    • 伝説の2強: リベラと2位のトレバー・ホフマン(601セーブ)は、MLBのクローザーの歴史において特別な地位を占める2大レジェンドである。
    • 長期的な安定感の証: トップ5にランクインするには、10年以上にわたって高いパフォーマンスを維持する驚異的な安定感と耐久性が求められる。

    現役選手の躍進と今後の展望

    • トップ5に食い込む現役勢: ケンリー・ジャンセン(4位)とクレイグ・キンブレル(5位)がトップ5入りしており、現代を代表するクローザーとしての地位を確立している。
    • 日本からの挑戦: 「大魔神」佐々木主浩も129セーブを記録し、MLBの歴史にその名を刻んでいる。これは日本人投手の実力が世界レベルであることを示している。
    • 記録更新の可能性: ジャンセンとキンブレルは現役であるため、今後さらに順位を上げ、リー・スミス(3位)の記録に迫る可能性がある。

    上位ランキング

    1位 マリアノ・リベラ 652

    「史上最高のクローザー」と称される伝説的な投手。キャリアのほとんどで「カット・ファストボール」ただ一球種で打者を圧倒し続けた。そのボールは打者の手元で鋭く変化し、数え切れないほどのバットを粉砕した。特にポストシーズンでの活躍は圧巻で、防御率0.70という驚異的な記録を残し、ニューヨーク・ヤンキースの5度のワールドシリーズ制覇に大きく貢献した。彼の背番号「42」は、全球団共通の永久欠番であるジャッキー・ロビンソンを除き、ヤンキースで最後に着用した選手として永久欠番に指定されている。

    2位 トレバー・ホフマン 601

    伝家の宝刀「チェンジアップ」を武器に、長年にわたりナショナルリーグを代表するクローザーとして活躍した。打者のタイミングを完璧に外すそのチェンジアップは、多くの強打者をきりきり舞いにした。サンディエゴ・パドレスの顔としてファンから絶大な人気を誇り、彼の登板時にはAC/DCの「Hells Bells」がスタジアムに鳴り響くのが恒例だった。史上初めて500セーブ、600セーブを達成した投手であり、その安定感と功績は高く評価され、2018年に野球殿堂入りを果たした。

    3位 リー・スミス 478

    1980年代から90年代にかけて活躍した、パワフルなクローザーの先駆け的存在。198cmの長身から投げ下ろす速球は威力抜群で、打者に恐怖感を与えた。8つの異なるチームでプレーしながらも、長期間にわたって高いレベルのパフォーマンスを維持し、1993年から2006年まで歴代最多セーブ記録を保持していた。その大きな体と威圧的な投球スタイルは、後の世代のパワー系クローザーに大きな影響を与えた。2019年に野球殿堂入りを果たしている。

    4位 ケンリー・ジャンセン 447

    マリアノ・リベラと同じく、カッターを武器に三振の山を築く現役のクローザー。もともとは捕手だったという異色の経歴を持つが、投手に転向後その才能を開花させた。ロサンゼルス・ドジャースの絶対的守護神として長年活躍し、チームのワールドシリーズ制覇にも貢献した。独特の投球フォームから放たれるカッターは、打者の手元で大きく変化し、空振りを奪う。現役投手の中ではトップのセーブ数を誇り、今後どこまで記録を伸ばせるか注目されている。

    5位 クレイグ・キンブレル 440

    100マイルに迫る剛速球と、「パワーカーブ」と呼ばれる鋭く落ちる変化球で打者を圧倒する現役のパワーピッチャー。鳥が羽を広げるような独特のセットポジションから、爆発的なボールを投げ込む。キャリアの初期には4年連続でセーブ王に輝くなど、圧倒的な支配力を見せつけた。複数のチームを渡り歩きながらも、クローザーとしての役割を果たし続けており、その奪三振能力の高さは歴代の救援投手の中でも屈指である。

    117位 佐々木主浩 129

    日本プロ野球で「大魔神」の異名を轟かせた伝説のクローザー。2000年にシアトル・マリナーズに移籍すると、1年目からその実力を遺憾なく発揮し、アメリカンリーグの新人王に輝いた。彼の代名詞である「フォークボール」は、ホームベース手前で鋭く落ち、メジャーリーグの強打者たちを大いに苦しめた。MLBでのキャリアは4年間と短かったが、その間に129セーブを積み上げ、日米両球界に強烈なインパクトを残した投手として記憶されている。

    順位名前指標詳細指標
    第1位
    652
    1,115試合
    第2位
    601
    1,035試合
    第3位
    478
    1,022試合
    第4位
    447
    871試合
    第5位
    440
    837試合
    第6位
    437
    948試合
    第7位
    424
    1,119試合
    第8位
    422
    853試合
    第9位
    390
    1,071試合
    第10位
    377
    787試合
    第11位
    368
    689試合
    第12位
    367
    880試合
    第13位
    358
    703試合
    第14位
    347
    728試合
    第15位
    341
    944試合
    第16位
    335
    796試合
    第17位
    330
    618試合
    第18位
    329
    800試合
    第19位
    327
    951試合
    第20位
    326
    1,010試合