ボルシア・ドルトムント、歴代高額移籍金ランキングTOP100【25/26夏まで】

重要ポイント

若手発掘と育成によるビジネスモデル

• ドルトムントは、ウスマン・デンベレやジュード・ベリンガムのように、若手有望株を比較的高額で獲得し、世界的なスターに育ててから売却することで莫大な利益を生み出す戦略を確立している。
• 移籍金ランキングの上位には、獲得時に10代だった選手が複数名を連ねており、クラブのスカウティング網と育成システムの効果を証明している。
• このモデルは、クラブの財政的な安定性を確保しつつ、チームの競争力を維持するための好循環を生み出している。

ブンデスリーガ内での戦略的補強

• マッツ・フンメルス、フェリックス・ヌメチャ、ニコ・シュロッターベックなど、国内のライバルクラブから主力級の選手を積極的に獲得している。
• この戦略は、自チームの戦力を直接的に強化するだけでなく、リーグ内での競争相手の力を削ぐという二重の効果をもたらす。
• ドイツ国内のタレントを熟知した上で獲得するため、適応のリスクが比較的低く、即戦力として計算しやすい利点がある。

上位ランキング

1位 デンベレ €3500万

16/17シーズンにフランスのスタッド・レンヌから加入したウスマン・デンベレは、ドルトムント史上最高額の移籍金を記録した。当時19歳だった彼は、驚異的なドリブルスキルと両足から繰り出される正確なパス・シュートを武器に、瞬く間にチームの攻撃を牽引する存在となった。ドルトムントでのプレーはわずか1シーズンだったが、公式戦50試合に出場し10ゴール22アシストという圧巻の成績を残し、DFBポカール優勝に大きく貢献した。その活躍により、翌シーズンにはFCバルセロナへ1億ユーロを超える移籍金で売却され、ドルトムントに莫大な利益をもたらした。彼の獲得と売却は、ドルトムントの「若手を発掘し、育成して高値で売る」というビジネスモデルを象徴する大成功例として知られている。

2位 セバスチャン・アレール €3100万

22/23シーズンにアヤックスから加入したセバスチャン・アレールは、アーリング・ハーランドの後釜として大きな期待を背負ってドルトムントの門を叩いた。アヤックス時代にはチャンピオンズリーグで驚異的な得点力を示しており、その実績から高額な移籍金が支払われた。しかし、加入直後に精巣がんが発覚し、長期離脱を余儀なくされるという困難に見舞われた。それでも彼は懸命な治療の末にピッチへ復帰。シーズン後半戦では、力強いポストプレーと得点感覚でチームの攻撃を支え、ブンデスリーガ優勝争いに大きく貢献した。彼の不屈の精神とピッチでの存在感は、多くのファンに感動を与えた。

3位 マッツ・フンメルス €3050万

19/20シーズンにバイエルン・ミュンヘンから復帰したマッツ・フンメルスは、ドルトムントの守備の要であり、精神的支柱でもある。一度はライバルクラブであるバイエルンへ移籍したものの、3年後に高額な移籍金で古巣へ戻ってきた。彼の復帰は、経験豊富なリーダーをチームに加えるという明確な目的があった。卓越した対人守備の強さ、正確なロングフィードによるビルドアップ能力は健在で、若手が多いドルトムントのディフェンスラインに安定感と経験をもたらした。彼の存在は、ピッチ上でのパフォーマンスだけでなく、若手選手の育成という面でも計り知れない価値を持っている。

3位 ジョーブ・ベリンガム €3050万

25/26シーズンにサンダーランドから加入したジョーブ・ベリンガムは、兄であるジュード・ベリンガムの成功の道を追う形でドルトムントにやってきた。兄同様、イングランドの若い世代で非常に高い評価を受けており、そのポテンシャルに対してクラブは大きな投資を行った。攻撃的ミッドフィールダーまたはセカンドストライカーとしてプレーし、優れたテクニックと得点感覚を併せ持つ。兄がクラブにもたらした莫大な成功体験から、彼にかかる期待は非常に大きい。ドルトムントは、彼が兄と同じように、あるいはそれ以上に成長し、クラブの未来を担う中心選手になることを信じている。

5位 ベリンガム €3015万

20/21シーズンにわずか17歳でバーミンガム・シティから加入したジュード・ベリンガムは、ドルトムント史上最も成功した投資の一人である。加入当初から年齢に見合わない成熟したプレーを見せ、すぐに中盤の主力に定着。攻守にわたる圧倒的な貢献度、卓越したリーダーシップでチームを牽引し、在籍3シーズンで公式戦132試合に出場、24ゴール25アシストを記録した。22/23シーズンにはブンデスリーガ年間最優秀選手に選出されるなど、世界最高のミッドフィールダーの一人へと成長。23/24シーズンにレアル・マドリードへ移籍し、クラブに1億ユーロを超える巨額の移籍金をもたらした。

56位 香川真司 €800万

14/15シーズンにマンチェスター・ユナイテッドから復帰した際の移籍金がこの額である。香川真司は、特に2010年から2012年までの最初の在籍期間において、ドルトムントの歴史に名を刻んだ選手だ。当時、実質0円でセレッソ大阪から加入し、ユルゲン・クロップ監督の下でその才能を爆発させた。ブンデスリーガ連覇（10/11, 11/12）とDFBポカール優勝（11/12）の二冠達成に中心選手として貢献し、11/12シーズンにはブンデスリーガ年間ベストイレブンに選出された。マンチェスター・ユナイテッドへの移籍を経てドルトムントに復帰した際も、多くのファンから温かく迎えられた。彼の成功は、その後の日本人選手の欧州での評価を高めるきっかけともなった。