【2025年6月】世界のガソリン価格ランキング:最も高い国と安い国は?日本の順位も解説

2025年6月時点の世界のガソリン価格ランキングによると、香港が1リットルあたり3.45ドルで最も高く、リビアとイランが0.03ドルで最も安い水準にある。アイスランド、デンマークなどの欧州諸国が上位を占める一方、産油国である中東・アフリカ諸国は価格が低い傾向が見られる。日本のガソリン価格は1.20ドルで、世界93位に位置している。

世界のガソリン価格ランキング
世界各国のガソリン価格ランキングを示しています。香港が1リットルあたり3.45ドルで最も高く、アイスランド(2.44ドル)、デンマーク(2.23ドル)が続きます。一方、リビア、イラン、ベネズエラなどはガソリン価格が最も低い国々です。

ガソリン価格とは、消費者が自動車の燃料としてガソリン1リットルを購入する際に支払う小売価格のことである。この価格は、原油価格、精製コスト、各国の税金、補助金、流通マarginなど、様々な要因によって変動する。

世界のガソリン価格の現状

世界各国のガソリン価格には、驚くほどの大きな差が存在する。最も価格が高い香港(1リットルあたり3.45ドル)と、最も安いイランやリビア(0.03ドル)とでは、価格差が100倍以上にも達する。この極端な価格差は、各国の経済状況、エネルギー政策、そして特に税制の違いを浮き彫りにしている。ランキング上位には、香港、アイスランド、デンマーク、オランダといった、税金が高いことで知られる国や地域が並ぶ。これらの国々では、環境負荷への配慮や社会保障財源の確保を目的として、燃料に高い税率を課していることが多い。一方で、ランキング下位には、ベネズエラ、イラン、リビア、クウェート、アルジェリアといった主要な産油国が集中している。これらの国々では、政府が補助金を提供することで燃料価格を人為的に低く抑えており、国民の生活を支える重要な政策となっている。

価格差を生む要因

ガソリン価格を決定づける最大の要因は、各国政府が課す税金と補助金である。原油価格そのものは国際市場で取引されており、どの国でも仕入れ値に大差はない。しかし、最終的な小売価格は、その上にどれだけの税金が上乗せされるか、あるいは政府からどれだけの補助金が投入されるかによって大きく変動する。ヨーロッパ諸国では、ガソリン税、付加価値税(VAT)、さらに環境税などが課され、小売価格の半分以上を税金が占めることも珍しくない。これは、化石燃料の使用を抑制し、公共交通機関の利用や電気自動車への移行を促すための政策的な意図がある。対照的に、中東の産油国では、豊富な石油資源を背景に、国民への富の還元として燃料補助金が支給される。これにより、国民は市場価格よりもはるかに安い価格でガソリンを利用できるが、一方で過剰なエネルギー消費や交通渋滞、大気汚染といった問題も引き起こしている。

地域別の傾向分析

地域ごとに見ると、ガソリン価格の傾向は明確に分かれる。ヨーロッパは、全体的に価格水準が非常に高い地域である。特に北欧諸国や西ヨーロッパでは、高い税金が課せられ、軒並み2ドルを超える価格となっている。アジアでは、価格のばらつきが大きい。香港やシンガポールのような都市国家では、土地の制約や交通渋滞緩和策の一環として、意図的にガソリン価格が高く設定されている。一方で、マレーシアやインドネシアのような産油国では、価格は比較的安価である。日本や韓国は、資源を輸入に頼る先進国として、中程度の価格帯に位置する。南北アメリカ大陸も同様に多様で、カナダやアメリカは比較的安価な一方、ウルグアイやコスタリカのような国では価格が高くなる。アフリカや中東は、産油国が多く存在するため、世界で最もガソリンが安い地域となっている。ただし、中央アフリカやジンバブエのように、政情不安や経済の混乱によって流通網が滞り、価格が高騰している国も見られる。

日本のガソリン価格の位置付け

2025年6月のデータによると、日本のガソリン価格は1リットルあたり1.20ドルで、調査対象169カ国中93位となっている。これは、先進国(G7)の中では比較的安価な部類に入る。例えば、イギリス(1.77ドル)、ドイツ(1.90ドル)、フランス(1.90ドル)、イタリア(1.94ドル)など、ヨーロッパの主要国と比較すると、日本の価格は大幅に低い。一方で、アメリカ(0.92ドル)やカナダ(1.17ドル)よりは高い水準にある。日本のガソリン価格は、本体価格にガソリン税(揮発油税および地方揮発油税)、石油石炭税が課され、さらにその合計額に対して消費税が課されるという「タックス・オン・タックス(二重課税)」構造になっている。これらの税金が価格の約半分を占めている。近年の原油価格の変動や円安の進行は、輸入価格を押し上げ、国内のガソリン価格に直接的な影響を与えている。政府は、価格急騰を緩和するために、石油元売り会社への補助金(燃料油価格激変緩和措置)を導入しているが、この政策の出口戦略や財源の問題も課題となっている。

【2025年6月】世界のガソリン価格ランキング

2025年6月時点の世界のガソリン価格ランキングによると、香港が1リットルあたり3.

Change Chart

    重要ポイント

    価格の極端な格差

    • 世界のガソリン価格は、最も高い香港($3.45)と最も安いイラン・リビア($0.03)で100倍以上の差がある。
    • 高価格国は主にヨーロッパに集中しており、高い税金が価格を押し上げている。
    • 低価格国は中東やアフリカの産油国に多く、政府の補助金が価格を低く抑えている。

    地域による顕著な違い

    • ヨーロッパは世界で最もガソリン価格が高い地域であり、環境政策や税収確保が背景にある。
    • 中東・アフリカの産油国は、豊富な資源と補助金により、世界で最も価格が安い。
    • アジアや南北アメリカは、国によって経済状況や政策が異なり、価格にばらつきが見られる。

    日本のガソリン価格

    • 日本のガソリン価格は1リットルあたり1.20ドルで、世界169カ国中93位に位置する。
    • G7諸国の中では比較的安価な水準だが、アメリカやカナダよりは高い。
    • 価格の約半分を税金が占める構造であり、原油価格や為替レートの変動に影響を受けやすい。

    上位ランキング

    1位 香港 $3.45

    香港のガソリン価格が世界で最も高い理由は、主に3つの要因が挙げられる。第一に、香港には独自の石油精製施設がなく、ガソリンを全量輸入に頼っているため、輸送コストや保険料が価格に上乗せされる。第二に、香港政府は交通渋滞の緩和と環境保護を目的として、自動車の利用を抑制する政策を採っており、その一環として燃料に高い税金を課している。この「初回登録税」は非常に高額で、車両価格の100%を超えることもある。第三に、土地が非常に高価であるため、ガソリンスタンドの運営コストが小売価格に反映されやすい。これらの要因が複合的に絡み合い、香港のガソリン価格を世界最高水準に押し上げている。

    2位 アイスランド $2.44

    アイスランドのガソリン価格の高さは、主に高い税金と地理的な要因によるものである。アイスランドは、他の北欧諸国と同様に高福祉高負担の国であり、ガソリンにも高い炭素税と付加価値税(VAT)が課されている。これは、環境保護への意識の高さと、化石燃料への依存を減らすための政策的な意図を反映している。また、アイスランドは北大西洋に位置する島国であり、ヨーロッパ本土から離れているため、ガソリンを輸入する際の輸送コストが他の国よりも高くなる傾向がある。国内に石油資源を持たないことも、価格が高くなる一因である。これらの税制と地理的条件が、アイスランドのガソリン価格を世界で2番目に高い水準にしている。

    3位 デンマーク $2.23

    デンマークのガソリン価格の高さも、主に税金に起因する。デンマークは、世界で最も環境意識が高い国の一つとして知られており、政府は再生可能エネルギーへの移行を強力に推進している。その一環として、化石燃料であるガソリンには非常に高い税金が課せられている。具体的には、エネルギー税、二酸化炭素税、そして25%の付加価値税(VAT)が上乗せされる。これらの税金は、ガソリン小売価格の半分以上を占める。この高い税金は、国民に自動車利用のコストを意識させ、自転車や公共交通機関の利用を促す効果も持っている。環境政策と税制が、デンマークのガソリン価格を世界トップクラスに押し上げる主な理由である。

    4位 オランダ $2.16

    オランダのガソリン価格がヨーロッパで常に上位に位置する理由は、その独特な税制にある。オランダでは、ガソリン1リットルごとに固定の物品税が課されるほか、購入価格に対して21%の付加価値税(VAT)が課される。特にこの物品税の割合が非常に高く、ヨーロッパの中でもトップクラスである。この税収は、国のインフラ整備や社会保障費など、幅広い公共サービスを支えるための重要な財源となっている。また、オランダもデンマークと同様に環境意識が高く、高い燃料税は化石燃料の消費を抑制し、より環境に優しい交通手段への移行を促すためのインセンティブとして機能している。

    5位 イスラエル $2.12

    イスラエルのガソリン価格の高さは、安全保障上の理由と税制が大きく影響している。イスラエルは周辺を産油国に囲まれているが、政治的な理由から、これらの国々から直接、安価な原油を輸入することができない。そのため、より遠方の国からの輸入に頼らざるを得ず、輸送コストが割高になる。また、政府はガソリンに対して高い固定税(Blue Tax)を課しており、これが価格を押し上げる主な要因となっている。この税収は、国の防衛費や社会インフラの整備などに充てられている。地政学的なリスクと、国家財政を支えるための高い税金が、イスラエルのガソリン価格を世界有数の高さにしている。

    93位 日本 $1.20

    日本のガソリン価格は1リットルあたり1.20ドルで、世界の中では中程度の順位に位置する。日本のガソリン価格は、原油価格に加えて、複数の税金が課されることで構成されている。具体的には、ガソリン税(揮発油税と地方揮発油税)、石油石炭税があり、さらにこれらの合計額に対して消費税が課される「二重課税」の状態にある。価格の約半分は税金が占めている。資源をほぼ100%輸入に頼っているため、国際的な原油価格の変動や、ドル円などの為替レートの動きに価格が大きく左右される。近年、政府は価格高騰を抑制するために補助金制度を導入しているが、それでも他の先進国と比較すると、アメリカよりは高く、ヨーロッパ諸国よりは安いという特徴的な位置付けとなっている。

    順位名前指標詳細指標
    第1位
    香港
    $3.45
    ¥511
    第2位
    アイスランド
    $2.44
    ¥360
    第3位
    デンマーク
    $2.23
    ¥330
    第4位
    オランダ
    $2.16
    ¥319
    第5位
    イスラエル
    $2.12
    ¥313
    第6位
    シンガポール
    $2.10
    ¥311
    第7位
    リヒテンシュタイン
    $2.09
    ¥309
    第8位
    スイス
    $2.06
    ¥305
    第9位
    ノルウェー
    $2.02
    ¥299
    第10位
    アルバニア
    $2.02
    ¥298
    第11位
    ギリシャ
    $1.98
    ¥293
    第12位
    バルバドス
    $1.96
    ¥290
    第13位
    フィンランド
    $1.96
    ¥289
    第14位
    イタリア
    $1.94
    ¥287
    第15位
    アイルランド
    $1.93
    ¥285
    第16位
    マヨット
    $1.92
    ¥284
    第17位
    ポルトガル
    $1.92
    ¥284
    第18位
    フランス
    $1.90
    ¥281
    第19位
    ドイツ
    $1.90
    ¥281
    第20位
    ウルグアイ
    $1.89
    ¥280