空港が多い国ランキング:アメリカが圧倒的1位、日本の順位とその理由は?

世界の空港数を国別に比較したデータによると、アメリカが16,116港で他を圧倒して1位であることがわかる。2位のブラジル(5,297港)、3位の欧州連合(5,211港)と比較してもその差は歴然としている。広大な国土を持つ国々が上位を占める中、日本は280港で25位に位置しており、国の経済規模や地理的特性が空港数にどのように影響しているかを示す興味深い結果となっている。

世界の空港保有国ランキング
国別の空港保有状況ランキング。アメリカが16,116の空港で圧倒的な1位を占め、ブラジル(5,297)と欧州連合(5,211)がそれに続きました。オーストラリア(2,257)とメキシコ(1,580)がそれぞれ4位と5位にランクインしました。

空港とは、航空機が離着陸するための飛行場の一種であり、旅客の乗降、貨物の積み下ろし、航空機の整備や給油などのための施設を備えた場所を指す。このデータにおける「空港」は、大規模な国際空港から、舗装されていない滑走路を持つ小規模な飛行場、プライベートな飛行場まで、多様な形態の航空施設を含んでいる。

空港数が示す国の経済力と地理的特徴

世界の国々における空港の数は、その国の経済規模、国土の広さ、そして地理的特性を色濃く反映している。16,000を超える空港を持つアメリカが圧倒的な首位に立っている事実は、その広大な国土と世界一の経済大国としての地位を象徴している。国内の都市間を結ぶ稠密な航空網は、ビジネスや観光における人々の移動を支えるだけでなく、膨大な量の貨物輸送を担う経済の生命線でもある。特に、自家用機やビジネスジェットなどの「ゼネラル・アビエーション」が非常に盛んであることが、空港数を押し上げる大きな要因となっている。

2位のブラジルや4位のオーストラリアも、国土の広さが空港の多さに直結している例だ。ブラジルには広大なアマゾン熱帯雨林が広がり、陸路での移動が困難な地域が多いため、航空輸送が地域社会を繋ぐ不可欠なインフラとなっている。同様に、人口が沿岸部に集中しているオーストラリアでは、広大な内陸部や各都市間を結ぶ手段として航空網が重要な役割を果たしている。

航空輸送の多様な役割とインフラの重要性

空港の役割は、単に旅客を運ぶだけにとどまらない。国際物流のハブとして機能し、世界中のサプライチェーンを支えている。また、軍事的な側面から見れば、空軍基地や関連施設も空港インフラの一部であり、国の安全保障に直結する。さらに、医療分野では、ドクターヘリの拠点や離島・へき地からの急患輸送など、人命を救うための重要な役割も担っている。このように、空港の数は、その国が持つ多様な社会経済活動を支える基盤の充実度を示す指標とも言える。

ランキング上位には、国土が広く、経済的に発展した国々が並ぶ傾向がある。これは、経済活動が活発であるほど、人やモノの移動需要が高まり、それを支えるための高度な交通インフラが求められることを示している。空港は、高速道路や鉄道網と並び、現代国家の競争力を左右する重要な要素なのである。

欧州連合(EU)の特殊性と日本の状況

3位にランクインしている欧州連合(EU)は、単一の国家ではなく国家連合体であるため、その数値は加盟国の合計を表している。これは、EU域内での人、モノ、サービスの自由な移動が保証されており、経済的に一つの大きな共同体として機能していることの現れだ。フランス、ドイツ、イギリスといった航空大国を擁し、LCC(格安航空会社)の普及も相まって、域内の航空ネットワークは非常に発達している。

一方、日本は280の空港で25位となっている。日本の経済規模からすると、この順位は意外に低いと感じられるかもしれない。その背景には、日本の地理的特性と、世界に誇る代替交通網の存在がある。日本は国土の約7割を山地が占め、空港建設に適した平地が限られている。それ以上に大きな要因は、全国を網羅する高速鉄道「新幹線」の存在だ。主要都市間の移動において、新幹線は定時性、安全性、快適性の面で航空機と強力に競合しており、国内の航空需要をある程度抑制していると考えられる。しかし、北海道や沖縄、その他多くの離島へのアクセスにおいては、航空輸送が依然として不可欠な役割を担っている。

空港が多い国ランキング

世界の空港数を国別に比較したデータによると、アメリカが16,116港で他を圧倒して1位であることがわかる。

Change Chart

    重要ポイント

    国土の広さと経済規模が空港数に影響

    • アメリカは広大な国土と世界一の経済力を背景に、16,000以上の空港を持ち圧倒的1位となっている。
    • 2位のブラジルや4位のオーストラリアのように、国土が広く陸路での移動が困難な国では、航空網が社会を繋ぐ重要なインフラとなる。
    • 経済活動が活発な国ほど、人やモノの移動需要が高く、それを支える空港インフラが充実する傾向にある。

    地理的条件と代替交通網の存在

    • 日本の空港数が25位である背景には、国土が山がちであることに加え、高速鉄道「新幹線」網が発達していることが影響している。
    • 新幹線が国内の主要都市間を結ぶ高速・高頻度の移動手段として機能しているため、航空機の需要が一部代替されている。
    • 一方で、沖縄や北海道、多くの離島を抱える日本では、これらの地域を結ぶ手段として航空輸送が不可欠な役割を担っている。

    空港の多様な役割

    • 空港は旅客輸送だけでなく、国際物流の拠点、軍事基地、医療搬送の拠点など、国の社会経済活動を支える多様な機能を持つ。
    • ランキング上位の国々は、これらの機能が充実していることを示しており、空港の数は国の総合的なインフラレベルを反映していると言える。

    上位ランキング

    1位 アメリカ 16,116

    アメリカが保有する空港数は16,116港と、2位以下を大きく引き離して世界一である。この圧倒的な数は、広大な国土の隅々までを結ぶ必要性と、世界最大の経済大国としての活動量を物語っている。ニューヨークやロサンゼルスのような巨大ハブ空港だけでなく、地方都市を結ぶ無数の地域空港、さらには個人や企業が所有するプライベート飛行場まで、その種類は多岐にわたる。特に「ゼネラル・アビエーション」と呼ばれる、自家用機やビジネスジェットの利用が非常に盛んであり、これが空港数を押し上げる大きな要因となっている。航空輸送は、アメリカの経済とライフスタイルに深く根付いた不可欠なインフラである。

    2位 ブラジル 5,297

    ブラジルが5,297港で2位にランクインしている主な理由は、その広大な国土と地理的特徴にある。国土の大部分を占めるアマゾン熱帯雨林や広大な高原地帯は、道路や鉄道の建設を困難にしており、多くの地域にとって航空輸送が唯一の高速な移動・輸送手段となっている。サンパウロやリオデジャネイロなどの大都市を結ぶ幹線だけでなく、内陸部の小さな町や村落にアクセスするための小規模な飛行場が数多く存在し、地域社会の維持に不可欠な役割を果たしている。ブラジルにとって、空港は経済活動だけでなく、国民の生活を支える生命線なのである。

    3位 欧州連合 5,211

    欧州連合(EU)は単一の国家ではないが、加盟国の合計で5,211港となり3位に位置する。これは、EUが経済的に一つの共同体として機能していることを強く示している。シェンゲン協定により域内の移動が自由化されており、ビジネスや観光での人々の往来が非常に活発だ。ドイツ、フランス、スペイン、イタリアといった航空大国を擁し、さらにライアンエアーやイージージェットといったLCC(格安航空会社)の急成長が、中小都市を結ぶ路線網を劇的に拡大させた。EUの空港ネットワークは、欧州統合の象徴とも言えるインフラである。

    4位 オーストラリア 2,257

    オーストラリアが2,257港で4位である理由は、広大な国土と人口分布の偏りにある。大陸の大部分は乾燥した内陸部(アウトバック)であり、人口の多くは沿岸部の主要都市に集中している。そのため、シドニー、メルボルン、ブリスベン、パースといった都市間を結ぶ長距離の移動には、航空機が最も効率的で一般的な手段となっている。また、広大なアウトバックに点在する牧場や鉱山、コミュニティへのアクセスにも小型機が活躍しており、生活や産業に不可欠なインフラとして数多くの飛行場が整備されている。

    5位 メキシコ 1,580

    メキシコは1,580港で5位にランクインしている。その背景には、世界有数の観光大国であることが挙げられる。カンクンやロスカボスといったリゾート地には世界中から観光客が訪れるため、国際空港の整備が不可欠だ。また、アメリカと国境を接し、北米自由貿易協定(USMCA)のもとで経済的な結びつきが強いため、ビジネス目的での航空需要も大きい。さらに、国土の多くが山がちな地形であることも、都市間の移動手段として航空輸送の重要性を高めている要因の一つである。

    25位 日本 280

    日本は280の空港で25位に位置する。世界有数の経済大国でありながらこの順位である主な理由は、世界最高水準の高速鉄道「新幹線」網の存在が大きい。東京、名古屋、大阪といった主要都市圏を結ぶ「東海道新幹線」をはじめ、全国に張り巡らされた鉄道網が、国内の旅客輸送の大きな割合を担っている。そのため、他の先進国に比べて国内航空路線の需要が相対的に抑制されている。しかし、国土が南北に長く、多くの離島を抱えるという地理的特性から、北海道や沖縄、離島へのアクセス手段として、空港と航空網は依然として国民生活に不可欠な役割を果たしている。

    順位名前指標
    第1位
    アメリカ
    16,116
    第2位
    ブラジル
    5,297
    第3位
    EU
    5,211
    第4位
    オーストラリア
    2,257
    第5位
    メキシコ
    1,580
    第6位
    カナダ
    1,459
    第7位
    フランス
    1,218
    第8位
    イギリス
    1,057
    第9位
    ロシア
    905
    第10位
    ドイツ
    840
    第11位
    アルゼンチン
    764
    第12位
    コロンビア
    661
    第13位
    イタリア
    655
    第14位
    南アフリカ
    573
    第15位
    パプアニューギニア
    569
    第16位
    インドネシア
    556
    第17位
    中国
    552
    第18位
    ベネズエラ
    509
    第19位
    チリ
    379
    第20位
    ケニア
    368